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サイト『七月の樹懶』の話と、更新履歴を主に。
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300字SS『帰る場所など』

「おかえり」

 子供の頃、遊んだ後に家路を辿ると、そう言ってくれた両親は、流行り病で逝きました。

「おかえりなさい、姉さん」

 たまの休暇で顔を見せると、そう出迎えてくれた妹は、行方知れずになりました。

 

 そして、今。

 旅路を共にしている勇者のあの人は、野営の夕方、わたしが夕飯の食材を得て戻ると、

「おかえりなさい」

 と、柔らかい笑顔を向けてくれます。

 

 彼女は知らない。

 わたしが、彼女にそんな事を言ってもらえる資格など無い事を。

 わたしが、この胸に秘める感情の刃を。

 何も知らないままの彼女に、「おかえり」と言って欲しいわたしと、彼女に全てを突き付けて、この信頼を塵に還したい衝動に駆られるわたしが、延々と戦っているのです。

 

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第45回Twitter300字SS様参加作品。お題『帰る』。

既にWebでも真相が公開されている範囲なので、そろそろ良いだろうと思い、主人公達以外の事も、描いてみました。 この話の主役と、「妹」については、本編終了後の番外編で、もう少しだけ、掘り下げたいと思っております。(なお番外編は白紙(プロット書き途中)です)

posted by たつみ | 21:16 | 小話 | - | - |